バービーボーイズ

スマップの特別番組にバービーボーイズが登場した。メンバーが一堂に会するのは十数年ぶりなのだという。

彼らは80年代に活躍した異色のロックバンドだ。男女一人づつボーカリストがいて、一つの曲の中で恋愛の情況をそれぞれの立場から歌う、という手法がとても斬新だった。十数年前といえば、私も惚れた腫れたの最前線にいたことになるが、正直なところ、実際にはこういう男女はいないな、という感じでリアリティは希薄だった。バンドが解散した後の一方のボーカリスト、杏子のソロアルバムも聴いてみたが、テーマに制約が無い分、末永くお付き合いできる作品に仕上がっていた。荒木経惟によるジャケットも秀逸だった。

バンドが解散した事情は知らないが、杏子は反対だったようだ。解散発表直後の深夜のラジオ番組で、彼女が「何でなんだよっ」と叫んだ後、絶句してしまったことを覚えている。ラジオで無音が続くのは放送事故になるから、スタッフは慌てただろう。昨夜のテレビでも杏子は、解散には納得しておらず、再結成に前向きだ、という姿勢を示していた。遠い記憶と現在が直線で結ばれた。一曲限りの演奏だったが、タイトなパフォーマンスで、画面に引き込まれるものがあった。しかしながら、番組の性格上、画面に定期的に共演するスマップが現れ、これはかなりストレスを感じる体験だった。よく考えてみれば、杏子達の再会を観られたのはスマップのおかげなのである。このようなジレンマは日常でもよくある。