ホッピーミーナ

ホッピーをご存知だろうか。昔から焼き鳥屋の店先などに泡のたったジョッキのイラストに「ホッピー」と書いてある短冊が貼ってあるのをよく見かける。庶民にとってビールが高価だった時代から代用物として親しまれてきた飲料だ。

ホッピーを注文すると、焼酎の入ったジョッキとホッピーの入ったビンが運ばれてくる。焼酎を割るホッピーの量でアルコール濃度がお好みに調節できるという寸法だ。店によっては、最初のジョッキは空で、焼酎がグラスで運ばれてくる場合もある。マドラーがついてくる場合もあれば、かき混ぜない方がおいしいです、という説明書きがついている場合もある。追加注文の際には、焼酎の追加を「ナカ下さい」、ホッピーの追加を「ソト下さい」とコールする。

最近、チェーン店の居酒屋などで、ホッピーがメニューに載っていることが多くなってきた。創業者の孫娘がドラスティックな経営刷新を行い、凄まじい増収増益になっているらしい。ホッピーミーナという名前で手記を出版したり、講演会が盛況だったりしているらしい。ブログもある。今では、生ビール一杯とホッピーはほんの数十円しか値段が変わらない。売れ行きが好調なのは、価格要因だけではなく、ホッピー自体が見直された、ということなのだろう。よくそのように仕向けたものだ。良い商品なのに売れない、ということはよくある。

会社の健康診断で脂肪肝を宣告されてしまった私のような者には、ビールよりも低カロリーなホッピーの方が向いているらしい。栄養価の低い食物や、品質の低い再生紙がもてはやされる時代である。昭和と平成の隔たりは大きくなるばかりだ。

#「ぼんじり」と「どんどり」は同じものらしいが、後者がメニューにある店はずっと少ない気がする。両者に明確な線引きはあるのだろうか。詳しい方がいたら教えてください。かしら、どんどり、しいたけ、ししとうは私の好物だ。レバーは店によって当たり外れが大き過ぎるので最近は頼まなくなった。敬愛する湯川トーベンが「焼き鳥の二本もあれば酒は飲めるのだ」と歌っているのを聴いて以来、つまみは焼き鳥に軸足を置いている。