怪獣総進撃

東京MXTVの円谷劇場で「ミラーマン」に代わって「帰ってきたウルトラマン」の再放送が始まった。第1話の「怪獣総進撃」は何度観てもワクワクする。怪獣もので、同一か、よく似たタイトルの作品が三つある。

怪獣総進撃」1968年東宝
「オール怪獣大進撃」1969年東宝
怪獣総進撃」1971年TBS

全て本多猪四郎がメガホンをとっている。新劇と言えば左翼、進撃と言えば猪四郎なのである。

帰ってきたウルトラマン」では二郎くんの名演技が印象深いが、第1話冒頭の鳩を逃がしている少年を演じた子役俳優もよく見かけた顔だ。彼はティーンエイジャーになっても「ナッキーはつむじ風」などにレギュラーで出ていたと思う。天才子役と言えば、これも名前がわからないが「バロムワンのコ」である。つい最近「戦え!マイティジャック」のDVDで再会できて嬉しく思った。彼はNHK少年ドラマシリーズで主役を張ったりしていた。2時間サスペンスドラマあたりで元気な姿を見せて欲しいものだ。

帰ってきたウルトラマン」の郷秀樹は、ハヤタ、モロボシ・ダンに比較すると、かなり人間味がある。しばしば彼は、自分の力を過信したり、周囲と対立したりする。このことがドラマをとても面白いものにしている。

私が小学生の頃には、ビデオデッキはとても高価なものだった。その代わりに「ウルトラセブン」や「帰ってきたウルトラマン」のサウンドトラックを収録したカセットテープや主題歌集を、テープが透明になるのではないか、というほど繰り返して聴いていた。これらのカセットには、「冬木透は満洲の出身だ」というようなトリビアな情報が満載の詳細な解説書がついていた。そこには「ウルトラセブン」の企画書の余白にあった手書きメモの内容が転載されていたりした。その中の「半歩でも前に進む」という言葉は、少年やりちゃんに深い感銘を与えた。日常会話で口をついて出ることもある。昨年末、六本木で行われたウルトラ博覧会で、その手書きメモの実物に出くわした時には、腰を抜かすほど驚いた。ウルトラを信じて生きてきてよかった。「半歩でも前に進む」という言葉が空疎でないのは、「ウルトラセブン」でSF性が高まったり、郷秀樹のキャラクター描写が深まったり、結果がついてきていることにある。何かと批判の多い「ウルトラマンレオ」においても、それは
見事に結実していた、とは言い切れないのかもしれないが、制作者の熱いパッションは伝わってくるし、好きな作品である。

劣化ウラン弾児童ポルノを規制しようとする動きに対して、

「じゃあ、人道的な兵器ってあるの?」
「じゃあ、品行方正なポルノってあるの?」

という冷笑的な視点がある。「半歩でも前に進む」という価値観に立てば、何が正しいかは自明だ、と考えている。