きっこの麻生叩き

根強い人気を誇る「きっこのブログ」の麻生叩きは執拗だ。首相の「1929年のブラックマンデー」発言を槍玉にあげている。麻生はブラックマンデーとブラックサースデーを混同したのだろう。きっこは記事中で「大恐慌」という表現を用いるばかりで明らかに「ブラックサースデー」という言い方を避けている。何とも安っぽい反権力である。また、今般の株安は麻生が「日本にも米国金融危機の影響は必至」と述べたことによるものだと断言している。日本経済が輸出企業主導型であることは、それほど経済事情に通じていなくても周知の事実だ。ニュースの時間には必ず為替相場が報告されている。日本にとって中国と並んで大きな市場である米国の経済が打撃を受けたのだから、先行きの見通しが暗くなる、というのも至極妥当な観測である。公人である麻生太郎の批判は自由だが、彼を「経済オンチ」と罵倒する割に、きっこ自身が内容をよく理解しているのかどうかは実に疑わしい。政治発言で下落した株価なら政治発言で回復も可能だろう。それほど単純なら世話はない。

きっこは池田信夫のブログを愛読しているようだ。池田氏リチャード・クーを地底人呼ばわりでコケにしている。そのマネをしたいのかもしれないが、両者の知識の差は大き過ぎる。

誤解されるかもしれないが、私は不景気な麻生の顔など見るのもイヤである。小泉政権時代に自民党は、時代に即して姿を変えることを予感させた。その後、安倍内閣造反議員の復党があって風向きが変わり、とうとう保守本流宏池会系の麻生太郎が登場し、バラマキ政治を公然と掲げている。野党第一党党首の小沢一郎もまた保守本流である。どう転んでも政治がリードする形での経済再生の芽はないだろう。マスコミもネットも政治にウェイトを置き過ぎている。私は保守本流の功績は大いに認めるものであるが、彼らは歴史的な役割を既に終えていると考えている。大多数の有権者も思いは同じだろう。