やりちゃん棒

ビジネス上の事情により、ここ一月ほどアパートで一人暮しをしている。学生時代以来のことになる。

アパートの浴室はユニットバスである。トイレの方にお湯が飛ばないようにシャワーカーテンを使う。極限まで安価な物件を探したので、浴室もかなり狭い。シャンプーをしようとしたらカーテンがまとわりついてくるのには閉口した。体を洗おうとしたら、やはりまとわりついてくる。まとわりつかれるのは熟女だけでありたいものだ。毎日のことなので、これではたまらない。

そこで、ホームセンターで突っ張り棒を買ってきて、写真のように設置した。これにより快適な空間が確保された。カーテンレールを真下から見上げることもできる。ざまあみろ、という気分になった。シャワーカーテンはよくカビが生えるといわれている。最後にシャワーを当ててすすぎ流し、畳まずに開いた状態で換気扇を回しっぱなしにする。24時間連続でも数百円だ、と聞いたことがあるが、私のアパートの浴室用換気扇には90分のタイマースイッチが付いている。激安物件にしては、中々気が利いているじゃないか。一月経ってもカビる気配はない。

上機嫌で食器類を調達する為に100円ショプを訪れた。突っ張り棒が売られていた。私がホームセンターで680円で購入したものに遜色なさそうである。ざまあみろ、といわれているような気分になった。とりあえずそれも買って帰ることにした。

我が激安物件にはロフトが付いていて、お得感を醸し出している。そのそばに明かり取りの天窓がある。そこに突っ張り棒を設置した。ここは当室内で最も日の当たる時間が長いので、お急ぎの洗濯物を干すのに適している。試しにずぶ濡れの作業ズボンを吊るしてみたが、落ちない。成功だ。

二本の独立した突っ張り棒でなく、これらをアパート暮しの為のやりちゃん棒と捉えれば、平均購入価格を下げることができたことになる。成功だ。