二つの節電

発電所の事故に関していろいろ言われている。東日本に住む者は、前例のない計画停電という事態を迎えている。深夜営業のコンビニエンスストアは営業を自粛してはどうかという声もあるが、これには誤解がある。電力需要のピークを抑えようというのが計画停電の意図するところだ。電気は貯めておくことができないからである。ピーク時でない深夜にコンビニエンスストアで電気が消費されても、電力会社の供給力を超える心配はない。節電と言われると、生活の中で電力消費の総量を抑えることを考えなくてはいけないような気分にされるが、めいめいがいかにピークを分散させるかの工夫をしなければならないのである。私だって我が師アトラス塩浜に教わるまで知らなかった。そのようなPRがもっとあってしかるべきだ。

オフピークだろうが、深夜だろうが、発電には温室効果ガスを伴うのも事実だから、その面から節電を訴えることは誤りではないが、ピークと総量の二つの節電の違いをよく理解する必要がある。

祖父の仇である日本共産党が節電に関して、またバカな主張をしている。一般家庭で計画停電などせずとも大企業の電力使用を総量規制すればよいのだと言うのである。日本の産業は、建設業にしても、製造業にしても、元請け、下請け、孫請け、曾孫請け…、というように重層的な構造をしている。元請け大企業の生産活動を抑制すれば、例えばそこから部品の発注を請けるような中小企業も直撃を受けるに決まっているではないか。

電力使用を抑制された大企業は、ピークを避けて工場の深夜操業や休日操業を余儀なくされるだろう。労働者の味方である筈の日本共産党の掲げる政策によって、外ならぬ労働者が深夜作業、休日作業に駆り出される羽目になるのだ。子供の顔も見られない。せめて夜食を買いに行くコンビニエンスストアくらい開いてなければ目も当てられないというものだ。義理の弟がフランチャイズしているから言うんじゃないわよ。