小林丸と中村社長

映画版「スタートレックIIカーンの逆襲」は、コバヤシマル・テストで幕を開ける。これは士官候補生の卒業試験となるシュミレーション任務である。敵国との緩衝地帯附近でコバヤシマルという民間船から救助信号が届く。救助する為には領海侵犯が必至となるデリケートな状況だ。案の定、候補生サービックが指揮する仮想エンタープライズは哨戒中の敵艦隊の総攻撃に見舞われ、任務に失敗する。種を明かせば、この試験は将棋で言う「詰み」であり、被験者がどのような動きをしても任務に失敗するようにプログラムされている。このミッションの目的は、被験候補生の指揮官としての適正、胆力を試すことにあったのである。伝説の英雄カーク船長は、試験前日にシナリオを改竄することにより、艦隊史上ただ一人この試験に合格した、というオチがついている。映画のクライマックスでは、副長スポックが放射能で汚染された機関室に飛び込み、数百人の乗員全員の生命を救う。隔壁の反対側でスポックは「私のコバヤシマル・テストの結果は?」とカークに尋ねた後に絶命する

日本製紙の中村社長は潔いという日記を書いた。騒動の結果、日本郵政は年賀状から古紙使用の表示を外すことになったらしい。中村社長は、カークとスポックをミックスしたようなやり方でコバヤシマル・テストに臨み、結果を残したようだ。

長い繁栄と長寿を