愛の行為

ドラマ「だいすき」は遅い時刻に始まる番組だが、娘が「絶対に観る」と言うので毎週付き合っている。特に先週の土砂降りの中で互いの姿を求め合う母娘には心を動かされた。この他にも、音無美紀子保育所の所長を好演していた。

音無美紀子といえば思い出すドラマがある。たしか「東芝日曜劇場」の枠の単発ものだったと思うが、音無美紀子ジョニー大倉が若夫婦で、山村聡が嫁の父親という配役だった。夫婦には小さな女の子がいたように思う。大倉は家庭内暴力、多重債務などの問題を抱えた夫役で、山村演ずる良識派紳士に孫娘がなついていることもあり、若夫婦は離縁して音無が実家へ出戻るかの方向でストーリーが進行する。

クライマックスで、山村、音無、大倉の三者が畳の上で正座して相見える。それまでセリフらしいセリフのなかった大倉が堰を切ったように熱く語る。

大倉「離婚はしません。夕べ俺達はあんなにッ、あんなにッ、愛し合って決めました。」
山村「(今更何を言うか、という憤怒の形相で視線を音無に移す)」
音無「(…コックリ)」
山村「(…目を剥いて絶句)」

この予想だにしない展開に、少年やりちゃんは、劇中の山村以上に驚愕した。ドラマのメインテーマは、「愛の行為は、たいていの問題を解決します」というメッセージだったのである。以来私にとってジョニー大倉は「あんなにッ、あんなにッ」の人であり、音無美紀子は「(…コックリ)」の人である。このドラマについてネット上では情報を得ることはできなかったが、知っていることがある方はご連絡下さい。

オールスター家族対抗歌合戦」で気のいい指揮者然としていたダン池田さんが突如として毒々しい暴露本を出版したのも、思えば予想だにしない展開だった。読みたい人は声をかけて下さい。持ってますので。

ダンさんのご冥福をお祈り致します。