地球市民セミナー

敬愛するマイミクシィ、アトラス塩浜選手主催の「第10回地球市民セミナー」に参加した。世界連邦の講演会と聞いて、若い頃の上條恒彦や、最近のミッキーカーチスみたいなルックスの人々が続々と集結するのかと期待に胸を膨らませていたが、満席の会場はスーツ姿の方、セイガク風の方がほとんどで、肩透かしを喰らう結果となった。「ベッキーさん、…しばらく休憩入りまーす」→ガクッ、というCMを連想した。うちの娘はあれが大好きだ。

講師は田中優という人で環境問題に関する話題だった。20年前、30年前と比較して地球の温暖化というものが進行していることは、最早疑いの余地もない気がしている。専門家に詳しい話を聞いてみたいものだと常々思っていた。田中さんはその道では大変高名な方だそうで、いたずらに焦燥感を煽るようなものでなく、問題点とその処方箋がコンパクトにまとめられた、とても充実した講演会だったと言える。せっかく来て下さる先生に失礼のないように、ということでアトラス選手は参加者の招致に奔走し、ついに体を壊してしまったらしい。いい話を大勢の人に無償で聞かせる為に身を粉にしてまで走り回るのが男・塩浜修である。

温室効果ガスの削減について、家庭内でのまめな節電等を追求したとしても効果は限定的で、圧倒的消費量の産業界が動かなくては話にならないとのことである。ここで話が終わるのなら「大企業は諸悪の根源です。確かな野党が必要です。」と言っている方々と変わらないが、田中さんは、電力の大口利用先の使えば使うほど安くなるという電気料金体系を見直して、応分の負担を求めれば、自然と3〜4割の使用量削減が進むだろうとの観測を示していた。受け皿としての省エネ技術の開発は進んでいるが、現行の電気料金体系ではインセンティブに乏しく大手企業は二の足を踏んでいるとも述べていた。

言うまでもないことだが、国家の中に大手企業というブラックボックスがあるのではなく、大手企業には大勢の社員がいて、めいめいに所得があり、消費がある。大手企業の旺盛な経済活動を奨励しようという政府があればその姿勢は正しい。逆の意味で「みんな、がんばらんでもええやん、そこそこではアカンのん?」という辻元清美のメッセージは彼女の政治スタンスとピタリと合致していると言える。

最新鋭の省エネ技術、設備の導入は企業にとってコスト増となろうが、健全な経済活動を阻害しないレベルに留まるのであれば、これを取り入れるべきなのではないか。我が国は温室効果ガスの削減について一顧だにしない、という方針をとっている訳ではないのだから、実利で国内企業を動かす仕組みを作ることは重要だ。排出権取引市場については、その効果を疑問視する向きもあるようだが、企業を実利で刺激するという意味において、これらの動きと矛盾しないと思う。これまで野放図だった問題について、国家を超えた枠組みが生まれるということは、それだけでも意味があると思うし、例えば仮に「化石系燃料の枯渇による地球寒冷化」という新たな問題が発生したとしても、環境の変化に対応する国際的な枠組み作りの経験は活かされる筈だ。トービン税の導入についても有効な国際的な枠組みが担保されていなければ無意味なものになる。戦争に負けた国としては、WTOICCなど、国連以外の国際機関が多ければ多いほど、世界への貢献度がアピールできるのではない
だろうか。優等生を演じずにはいられないのが日本人の性なのだから。ガスの削減について日本の状況は「乾いた雑巾を絞るがごときである」というのがこれまでの政府公式見解であったが、田中さんによれば、まだまだ宝の山が埋もれていることになる。米国ブッシュ政権京都議定書を批准しなかったこともあり、排出権取引市場の基軸通貨はユーロになっていくだろうと言われている。後ろ向きなコストである排出権の購入の為に、わざわざ円に対して強くなる一方のユーロまで買わなければならないとすれば、泣き面に蜂だ。目標を超え、排出権を売る立場に転ずれば、製造コストである電気料金を削減した上に外貨を獲得することができることになる。しかも家庭生活においては、特に大幅な方針転換を迫られる必要もない。いいことづくめではないか。

※途中からはやりちゃんの自分勝手な推論になっています。当日、排出権取引の話は出ませんでした。

後半は化石系燃料から自然エネルギーへと軸足を移した社会についての話だった。風力発電用の風車が景観を乱したり、鳥類に被害を与えるというようなマイナス情報も開示され、実に公平な態度だった。講師は、自然エネルギーは大手の供給者を必ずしも必要としないことがその特色であると言いたいようだった。このことが社会全体に与える変化についてはいろいろ考えてみる必要がありそうで、非常に興味深い。もしかすると、IT革命などかすんでしまうかもしれないわね。

※アトラス選手は常時マイミクシィを募集していて、仁義を切らなくても申請を拒絶されることはない。日記はほぼ毎日更新され、常にその内容は濃い。今回のような講演会の案内も届くので興味のある方は是非申請しよう。