それぞれのポスト麻生

私の住んでいる地区の自民党議員は引退を表明している。次回の総選挙には息子が立候補するらしく大量のポスターが貼られている。その候補者が麻生総裁ではなく高村正彦とのツーショット写真のポスターを使用していることに気が付いたのは先週の初めのことだ。調査して回っているわけではないが、週末に県内北部を車で移動していたら、そこの候補者は舛添要一とのポスターを使っていた。麻生太郎は一般国民に人気のない首相だとは聞いていたが、身内からも疎まれているという評判も、どうやら本当のことらしい。今の千葉県知事は社会党出身だし、最近の県内の選挙事情では民主党がかなり台頭してきている。現職の内閣総理大臣が選挙のマイナス材料だ、というのは各自民党候補者の正直な気持ちなのだろう。

しかし、デビュー戦の応援ポスターに高村正彦というのもまた随分と思い切ったチョイスである。派閥の領袖にして閣僚経験者ではあるが、知名度としては麻生に遠く及ばないのではないだろうか。ウルトラシリーズで言えばウルトラマン80みたいな地味さがあるような気がする。きっと高村の力を借りるというよりも、「現政権とは距離を置いています」という意志表示なのだろう。これらのポスターは自民党本部の承認を得ている筈だが、みすみす選挙に落ちるよりは余程いい、という考え方なのかもしれない。

与党内の倒閣運動をよく「〇〇おろし」と言うが、これは'70年代半ばの「三木おろし」が発祥だろう。高村正彦率いる番町政策研究所が三木派の流れを組む派閥だというところが何とも皮肉な巡り合わせである。自分の親分がされたことと同じことに加担するつもりか、悔しくないのか、と思って調べてみたら、いわゆる「三木おろし」当時、高村は弁護士をしていて代議士ではなかった。