お彼岸

休日出勤の昼下がりに間違い電話がかかってきた。中年女性の声が、かけた相手の確認もそこそこに、自らの立場の妥当性を切々と訴えている。

「それはね、もう最初から出ていた話だからね…。」どうとでもとれるような相槌を入れてみた。話を総合すると、この女性は、生花店の人で、納めた品物が「イメージと違う」というクレーム受け、この電話は、それに対応する為のものらしい。何とも季節感のある間違い電話である。気が付くと、会話が止まっていた。どうやらここで、私が態度を表明しなくてはならないようだ。

「問題ないですよ。打ち合わせ通りちゃんとやってくれたのでしょう。全く問題ない。」と言ってみた。

女性はすっかり安心したようだ。明るい挨拶を交わして受話器を置いた。何やら人助けをしたような気分を味わうことができた。

めでたし。