左遷

日曜の午後に「ザ・ノンフィクション」というドキュメンタリー番組を観た。関東地方でしか放映されていないらしいが、過去に「平成金の卵」「私、第2夫人になりました」「テキ屋ぶる〜す」などの秀作シリーズがあり、かれこれ10年程のお付き合いになる。

実はこの番組で取り上げられた方が一人、マイミクシィを承認して下さっており、ひそかな自慢である。収録以降の後日譚に興味津々なのだが、長らく日記の更新がないようだ。

日曜日の最新作は、九州にある町の活性化に奮闘する官僚出身市長の姿を追ったものだった。その市長の打ち出した町興し策や、お涙頂戴然とした再選劇自体には心を動かされるものが少なかったが、この市長が若年期に直面したという左遷には考えさせられた。国立大学卒業後、総務省に入った彼が、不用意に(かどうかは不明だが)会議を「無駄だ」と評したことを咎められ、沖縄の離島に左遷されてしまった、ということである。このような話を聞くのはこれが初めてのことではない。生意気で礼儀を知らない新入りを「バカヤロウ」と怒鳴ったり、諭したりすることもなく、仲間として受け入れることを考えず、報復人事を処すことが淡々と行われている。人間らしさ、日本人らしさが欠けていると感じる。

政権交代ということがよく言われているが、どのような政権が生まれようと、ある日突然、官公庁にヒューマニズムが溢れ返るようになるとは思えない。所得の再分配を国家に委ねよう、というのはとてつもないロマンチシズムではないのか。委ねる程に歪みは大きくなるだろう。