ギターヒーロー

紅白歌合戦のサプライズゲストに矢沢永吉が登場した。チャンネルを替えてすぐだったので、驚いた。更に驚いたのは、脇で山本恭司がギターを弾いていたことだ。携帯電話で検索してみたら、この二人は、もう何年も前から何度も共演しているようだ。知らなかった…。ロックとかそういうものがどうでもよくなってから何年にもなる。しかし、二曲の演奏の間、恭司のアップは一度もなかった。まったく酷い扱いだ。

実のところ、山本恭司に特段の思い入れはない。私にとってのギターヒーローゲイリー・ムーアと、うじきつよしだった。雑誌の写真で見かけた"nobody gonna stop my fingers"というギターに貼られた文字を真似してみたりもしたものだ。うじきが活動を辞めた理由がサッパリわからない。やまとゆうも勝誠二も現役バリバリだというのに…。

うじきつよし率いる子供ばんどは、"hungry boy"というアルバムで一つの頂点に達したように思っている。詳しい事情は知らないが、メンバーが一人抜けて、三人編成で制作された作品で、むしろ何かフッ切れたような清々しさがある。"fallin' rain"という淋しい曲があるのだが、過剰な情緒の押し付けがないところがとてもいい。東君平の絵本のような味わいだ。以降の子供ばんどは「思うところのある」サウンドになっていき、半ズボンの男の子の姿が消える。

俳優としてのうじきつよしも決して悪くはない。「最後の戦犯」というNHKのドラマで彼が演じた労働組合のリーダーは素晴らしかった。作品全体もよくできていた。数ヶ月前に実際に戦犯だったという父親と戦地を訪ねるドキュメンタリー番組でみかけたのが最後になる。彼にとって「思うところのある」時代がしばらく続くのだろうか。

還暦あたりでフッ切れたとして体が動くかい。ファンの身にもなれよな。ハハハ…。